Bill Cunningham

https://www.instagram.com/p/BHMmPNuhorn/

 VISIONAIREの一切の文字を排するというコンセプトの中で唯一、文章を掲載していたのが初期の頃のビルのファッション・リポートでした。

 まだ英語もつたない、インターンになり立てだった日本人の自分に、いつも「Hello young fellow!」と、とても素敵な言い回しで接してくれた事、コレクション会場やパーティー、そしてプライベートな会食での何気ない会話すべてが、走馬灯のように思い出されます。

 倒れたと言う事は耳にしていたけれど、日曜の夜は、久々に号泣しました。本当に優しくしてくれてありがとうございました。あなたほど観察力に優れ、かつフェアと言う言葉が似合う紳士はいないでしょう。

 この写真も2月のある日、ベンチコートをまとった日本人観光客を多く目にするようになったあなたが、当時「Style Watch」と言う街中で起きている事を綴ったコラムを隔月でハーパーズバザーに寄稿していたスティーヴンに電話で尋ねてきて(のちにスティーヴンは同誌のクリエイティヴ・ディレクターに就任します)「それなら史明が着ているよ」と言う事で後日、当時のオフィス近くで待ち合わせて撮影したものですね。今から22年も前の事です。

 僕は自分の容姿に自信がないからとても恥ずかしかったけれど、記事が発売された時は妙に嬉しかったのを覚えていますし、今でも自分の写真を飾ってあるのは、この一枚限りです。

https://www.instagram.com/p/BHMzUdFBcuZ/

 あなたが撮ってくれたこの写真と記事、そして共有できた時間は僕の一生の誇りであり、宝物です。

 心からご冥府をお祈りします。ありがとうビル、本当にありがとう。そして、そんな機会を与えてくれた、スティーヴンと山室さんに、心から感謝しています。

 

 

ビル・カニンガム&ニューヨーク [DVD]

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