口にするのも野暮ったいけれど、言葉にしないと伝わらない事もあるわけで...

 

 

 ここ最近たいしてブログを更新してこなかったのに、12月に入った途端に毎日更新するようになったと思ったら「なんだよ、何も書かないでYouTube貼り付けてるだけじゃん」って思った人も多いと思います。それもフイナムの営業的に何にも関係ない(であろう)GAPのCMばかりで(笑)。

 最も僕からすると理由はあったんです。だって12月って、年末って、クリスマスって、冬休みやお正月って理屈なしにワクワクしたり楽しいものじゃないですか。大抵の人にとっては。それをいちいち今日はこんな日だから楽しもう!なんて野暮だなって思ったんですよね。

 もちろん17の頃から6年ほどミラノに住んでいた自分にとっては、12月7日のミラノの守護神であるSant'Ambrogio(聖アンブロージョ)の日にスカラ座が幕開けする事によって、そして23からNYに移ってからは11月の第4木曜日のThanksgiving dayが冬の到来をを意味する大切な節目。だから日本に戻ってから10年以上経った今も、この時期が来ない限りどんなに寒くても冬だなぁ...って思わないほど。それほど習慣として身についてしまっています。でもそんな事をいちいち解説したところで楽しさなんて込み上げて来ないわけで、実際ここまで書いても何の事かピンとこないって人もいると思うんです。

 でもね、それでいいと思うんですよね。だって知りたきゃ自分で調べればいい訳ですよ。教科書じゃないんだから。オンラインでつながってるんだから右クリックでググれるんだし。たまにツイッターとかで「これどうしたらいいんだろう?」ってあるけど、そこまでつぶやける(入力できる)なら調べろよってツッコミ入れたくなる事ありません(笑)? TVだって見ていて「は?」って思うことありますよね。

 「これはCM上の演出です。」...って、いや、その前にこれアニメだし!わかるし、そんな事!みたいな?

 もちろんその習慣の差=文化の差であることには違いありません。でもいつからなんでしょうね?日本人がこんなに説明やら注釈やらを付けないと理解できなかったり、誤解を招いたり問題定義をするようになったのは? もし万が一子供がって思うならば、親や周りの大人がキチンと話したり説明すればいいんですよ。それを怠っているという事実を認識すべきで作り手の落ち度ではない。そういう細かい事をキチンと後世に伝える義務を今の大人は放棄していると思います。

 最も自分が子供の頃には風呂に入れたペットを電子レンジで乾かしたら死んでしまったけれど、説明書にはそんな注意書きがなかったとやらで裁判になってメーカーが賠償金を払ったなんてニュースが流れて「アメリカ人って何てバカなんだろう?」って子供ながらに思ったものです。でも気付いたら、いつのまにやら日本人も全く変わらなくなってきている。でもこれってアメリカナイズされたどころか、もはや退化じゃないかと。

 

 

 ただ、これにはバブル以降の不景気に一因があると、僕は常々思っています。

 バブルが弾けて物が売れなくなって、どうしたら売れるか、生き残っていく事ができるか...って大人が知恵を絞った結果が今の根本的なスタイルなのかなと。ただ、あくまでもこれは時代の流れであって、それ自体の善し悪しをどうこう言うものではありません。だって勝ち残る術ですし、それこそがこの時代の、日本のカルチャーの形なのですから。ただそこに元来のアングラ好きな国民性が加わったのも大きかったかもしれませんね。でも強いて言うならば、知恵を絞った大人には文字通り「知恵(知識)があった」というひと言に尽きると思います。そしてそのスタイルやカルチャーが継承される課程において、本来の知恵を欲するという欲がなくなった、もしくは姿を変えていったのではないかなと思う訳です。

 でも折しもアベノミクスによって好景気(感)が囁かれる中、そろそろ自分の責任で色々楽しんでもいいかなって思うんですよね。ある程度の年齢の人は。豊かになるって、そういう事だと思うんです。それが後世の人を豊かにさせる。さらには自分たちが豊かになる=相手(ほかの国の文化にも理解を深める)という事じゃないのかなと。

 だってこのひと月に渡って僕がポストし続けたGAPのCM映像に、どんな素材が使ってあるかとか、どんなコーディネートがいいかとか、どんな色が流行ますって言葉による押しつけってなかったと思うんですよね。単に見ていて楽しい、ウキウキしちゃう=もう一度見たいな=あれ?GAPに行ってみよう、あれ着たいって思わせる訳で...

 MerryMixItのシリーズなんてとにかく王道!ってくらいに愛らしい。中でも"Baby It's Cold Outside"編は本来はあの手この手で帰したくない男と、どうにかして帰ろうとする女のやり取りをコミカルに描いた名曲を逆手に取ったあたりが世相を反映していてたまらないし...とは言っても結構前のなんですけどね、この作品も。最後のMichel Gondryのなんて90年代だし。そして、GAPに限らずユダヤ系の多い国だからこそ、彼らの祝い事である「ハヌカー」を祝う事も忘れていない。(ちなみにホワイトハウスでもクリスマスとハヌカーの両方を祝います)こういう所に気付けるかっていうのも大きなポイントだと僕は思います。洋服は基本、西洋の服という点においても。

 Ariana Grande(アリアナ・グランデ)のクリスマスソングにしてもそう。単に大ファンっていうのはもちろんだけれども、わざわざ歌詞入りのを選んだのには、少しでもその意味合いが伝わればと思ったからこそ。特にティーン向けの彼女の詩は何を言ってるか単語さえわかれば理解しやすいはずと考えたのです。だからこれらはたまたまその日にアップしたのではなく、映像だったり歌詞のニュアンスに沿って、僕なりにアップする日を考えてきたつもりです。だって所詮このブログって言うのは僕の世界観なわけで、その欠片程度でも伝わればという思いがあったからこそ。

 それにしても彼女のアルバムしかり、11月末から毎週リリースされたクリスマス・ソング、本当に良く出来てますよね。はじめて「The Way」を聞いた時に驚いたっていうか、売れる理由がわかるというよりも売れない理由がわからなかったくらい。ヒットするってそういう事だと思うんです。そしてもうひとつは自分自身がOpen Mindedでいようと。好みの問題ではなく、いいものは良いと言えるようでいたいなと。いや、そんなことよりも1月のライブ行きたいなぁ...っていうかBABY FACEやるよね(笑)。

 そして、いま世界中で傑作との呼び声が高いAppleのこのホリデーシーズンのCM、"Misunderstood"。

 日本でオンエアされているのが短いやつだけなのが残念なのと、蔡さんのブログにもありましたが日本では前述の豊かな時代において完全なるイチャイチャ・デーになってしまった感のある「クリスマス」なのでイマイチ伝わりづらいかもしれませんが、Thanksgivingsと同じく本来は家族や大切な友人と過ごす、日本人で言うなら年末年始の帰省のような大切な時間。(そういう意味では最近は不景気で原点回帰している気もしますが、それはそれで正しい形なのかなと...理由は何であれ。)

 でもそんな中、おじいちゃんの家に向かう車の中からずっと携帯をいじっているどころか、着いても皆が楽しんでいるのに溶け込もうとしない。その誤解されやすいであろう反抗期の男の子行動の裏には、実はみんなのために内緒で動画を撮って編集をしていたという優しさ=家族の愛が深まるというストーリー。

 冒頭で久々に会ったおじいちゃんに抱きしめられた時に面倒くさそうな顔をしたように見えたのは、実は「今撮ってるのにぃ!」っていう彼なりの不器用な想いも、iPhoneを通して、そしてApple TVがあればあなたにも伝える事が出来るんですよ...って企業として押したい部分を暗にほのめかす。でもこれってながらケータイはやめましょうだの、スマートフォンだのLTEの繋がりやすさ、安心だフォンや4KTVの機能がどうのっていうんじゃなく「家族の愛」っていうくくりでその全てを説明し、魅了させてしまう所に、そしてその文化の厚さに、自分はグッときてしまうわけです。

 ホントお陰で16日にアップされてから毎日号泣ものです。まぁ同じ年頃の男の子がいるというのもあるかもしれませんが、それだって自分の年代ってまさにメインターゲットだという事を考えれば、もう脱帽ものですよね。ただその数秒の中でも日本では最後に"Merry Christmas"と出ますが、GAPと同じで様々な人種や宗教をかかえる北米では"Happy Hplidays"という表記になるという事を知っていても損はしないでしょうし、いずれにしてもWi-Fiがなきゃだめだとか、それなりの表記はあります。でもその中で感じるのは「あれ?やっぱり来年はTVだすのかな?Apple?」なんてちょっとした期待も膨らんでみたり♪

 なんかやけに向こうの文化を持ち上げてるように思われるかもしれませんが、昔は雑誌にしても広告にしても、大衆文化を牽引する分野において日本にもそんな時代があったんですよ。本当は。だから羨んだり憧れているのではなく、知識欲をくすぐって欲しいというのが本当のところ。そういう所に自然と興味が行く流れが欲しいという事。

 だから景気の向上をバネに、そういうところも変わっていけたら楽しいのになぁ...っていう思いを、このひと月のブログに込めた次第です。今あるものを否定するのではなく、そろそろそういった豊かさが兼ね備えたものもあってもいいのになぁ...と思う次第なぁ...と。

 最後になりますが、今日のブログに貼り付けてある映像はパッと見たところ昨日の"Misunderstood"のようですが、実はその中で男の子がiPhoneで撮って編集した=リビングでみんなに公開した"A Harris Family Holidays"の完全版(Full Footage)という設定。なんと本編にはAppleのロゴも注意書きもありません。もちろんYouTube映像のタイトルにはありますが、Appleが今後これがどう全世界に出回るかという事に対する事を誰よりも理解している証だと思います。色々な意味で。Cat Powerの"Have Yourself Merry Little Christmas"がまた泣かせますよねぇ... 

 つまり、長々と書いてきましたが、端的に言えば「イチイチ粋だよね」って事。そこにグッとくるよねって話ですよ(笑)。90年代がキテるんじゃなくて、作り手や受け手がそろそろ本当の意味での「ホンモノ」を欲してきているんだなぁ...って思わせる年の瀬。来年以降、オリンピックに向けては色々と楽しい事がありそうな予感♪ 勘違いしないで下さいね。アメリカナイズされろなんて言ってませんよ。僕たちにも出来る事があるでしょう...って事です。バブル上等、いつでも来いや!っていうか来て!

 是非ともHDフルスクリーンで見て下さい。そしていまiPhoneを持っている人は、この冬、友達や家族、もちろん一人でも、何か作品でも作って、是非このフイナムブログにアカウントを作って公開してみて下さい!楽しみに待っています♪ いや、僕がというよりも、新しい才能を待っている大人たちが...

 Let's hang a shinning star upon highest bough!

 

 ね、やっぱり口にすると野暮ったいけれど、言葉にしないと伝わらないでしょう(笑)? でもその隙間を埋める言語が「デザイン」、それをサポートする辞書が「知識」なのかなって思います。

 

追伸:

全然話しが違うんですが、GAP、まだまだイケると思うんですよね。 だってトニー・べネットもってこられちゃったらもう...文化の層の厚さというか、とにかく脱帽です。え、いや、もちろん何ていいますか...お仕事お待ちしております(爆)。

 

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