帰郷

 

 意外に思われる事も多いのですが、海外に長く住んでいたのと自分の誕生日がクリスマスという事もあって、実は年末年始を日本で、いや正しくは東京以外の場所で過ごした事がありません。

 今年も例外なく、いつも通り東京で。昔は「盆暮れ正月」なんて言いましけれど最近はお盆に帰郷する人が減ったり、逆に夏休みで地方からの人で溢れたりとで、東京に生まれて東京で育った自分としてはガランとした、幼少時代の記憶に残る「ふるさと」を実感できる数少ない貴重な時間。

 クリスマスを越えた辺りからの飾り付けに始まって、徐々に減っていく人と車、その逆に増えて行く近所の子供や家族の姿。大晦日の夜に表に出てみれば人っ子一人いないどころか、排気ガスで汚れていない澄み切った空気に晴れ渡る空には満面の星、そして遙か遠くのビルの影。

 朝になれば氏神様にお参りに行く道に、本当はいつもよりも人が多いはずなのに、いつもよりも穏やかな空気感に心躍るんだけれども、三が日が終わって東京に人が増えて行く時の寂しさを考えると何とも言えない気持ちになったりして。ちょうど大盛りの好物を頼んで供された時の嬉しさと、残り数口っていう時の「あぁもう終わっちゃう!」のと同じような感じ?

 出世魚から始まって、今年一年の災厄を断ち切るために蕎麦を食し、遅くまで語らう。117の時報を聞きながら新年の訪れを祝い、朝になれば眠い目をこすってお参りに。苦手なお屠蘇を口に含み、いつもの順番でいつものものを。縁起物で溢れたお節をつつけば、朝からついつい飲み始めてしまう。これが僕のお正月。

 ここ最近は「来年は海外でもいいかもね」なんて言うものの、なかなかどうして、やっぱり捨てがたいんですよねぇ。さて来年のお正月はどこにいることやら(笑)。

 今年もあと12ヶ月、頑張って行きましょう!

 

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